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「有」罪推定の原則

無罪推定の原則とは,検察官が被告人の有罪を合理的な疑いを超える程度に証明しなければ,被告人は有罪とされないという原則をいいます。

人権B規約14条2項に明文があるほか,憲法13条,31条,刑事訴訟法336条,刑事訴訟規則193条1項なども根拠規定とされています(上口裕『刑事訴訟法〔第4版〕』(成文堂,2015)419-420頁)。

当該原則の趣旨を踏まえれば,裁判所が逮捕・勾留の理由と必要性の有無を判断するに際しても,捜査機関が嫌疑の存在に加え罪証隠滅や逃亡の具体的可能性を証明しなければ,逮捕・勾留は正当化されないはずです。

例えば,捜査機関は,「有罪を立証するに当たり〇〇という証拠が必要になると予想されるところ,被疑者・被告人(以下,「被疑者等」という。)には,△△という方法で当該証拠を隠滅しうる機会と,××という理由で隠滅しようとする動機がある」という主張を,これを裏づける証拠と共に,裁判所に具体的に示す必要があるはずです。

ところが,実際には,裁判所の罪証隠滅や逃亡の可能性判断は極めて抽象的であり,否認しているから,被害者や目撃者と面識があるから,共犯者がいるから,といった形式的理由だけで可能性を肯定しているというのが現実です(証人保護プログラムなどを有するアメリカでは,たとえ被疑者等が証人に接触するおそれがあったとしても,証人を保護する義務を負っている捜査機関がそのようなおそれを排除するので,釈放しても問題はない,という考え方があり得ますが,日本の捜査機関に,自分たちが釈放された被疑者等から被害者や目撃者を守ればいいという発想はなく,そのような手間をかけるより被疑者等を閉じ込めておけば簡便,という考え方のようです)。

逮捕状発布の判断に至っては,果たして裁判官はまともに記録を読んでいるのかと不安になるほど,審査が緩い印象です。

去年,那覇簡裁で,裁判官の押印がない逮捕状や捜索差押許可状が発布されていたという不祥事がありましたが,普段からきちんと令状審査が行われていれば起こり得ない事態だと思います(このような不祥事等から,裁判所に不信の目が向けられているにもかかわらず,準抗告棄却決定の理由などを見ても,ほぼテンプレートのままということが大半であり,自分たちは事案に即して具体的に判断しているんだという証を立て,被疑者等や弁護人から一応の理解は得ようと試みる誠意すら,裁判所からは伺われません)。

また,警察が起案した逮捕状請求書を読むと,被疑者は否認しているから逮捕の必要がある,などと堂々と書いてあることがありますが,無罪推定の原則からすれば,否認していることは冤罪のおそれから逮捕に慎重になるべき事情であるはずなのに,まったく逆の捉え方をされ,驚くべきことに,検察庁や裁判所までこれを是認している現実があります。

このような考え方は,「この被疑者等は本当は有罪なのにそれを認めない嘘つきだ」という非難に立脚しており,「有」罪推定の原則を採用しているに他なりません。

日本には,有罪となる前から,あるいは無罪となった後でも,有罪を強く疑い,半ば決めつける土壌があることの証左は,警察署等の未決勾留施設の環境が劣悪で,スマホもテレビもないことは言うまでもなく,ご飯は不味く,現金の準備がなければ下着含めろくに着替えることもできず,入浴は夏場でも週1,2回で,既に刑罰を科されているのかと錯覚するほど過酷であること,無罪判決が下されたとき,裁判官が被告人に謝罪することはあるものの,肝心の捜査機関が謝罪することはまずないこと,嫌疑不十分による不起訴処分の場合に至っては謝罪も補償もなく,むしろ過去のクライアントには,検察官に「今回は我々の負けだが,あなたが釈放された後もずっと監視しているので覚悟するように」などと捨て台詞を吐かれた方もいること等々,枚挙に暇がありません。

問題の根幹には,先進諸国に比べ,権力監視を含む民主主義に対する意識が低く,「お上」を盲目的に信頼する傾向がある日本において,捜査機関,特に警察に対する信頼が厚過ぎるという現実があります。

頻発している不祥事に鑑みても,日本の捜査機関の能力は,先進諸国の中ではかなり低い方だと個人的には考えていますが,日本国民の「お巡りさん」に対する信頼は絶大であり,定期的に放送される警察密着番組も,これを維持・増強しているように思われます(番組における警察の姿は,私が日々接しているそれとは大分異なる印象です)。

この信頼ゆえ,「逮捕=有罪」という,実態とはかけ離れた社会的イメージが醸成され,報道や勾留による勤務先・学校への露見により,被疑者等は,有罪判決を待つことなく,早々に社会的に抹殺されていきます(お知らせ「報道と嫌疑不十分」「刑罰に対する社会的制裁の優越」参照)。

後に無罪や嫌疑不十分となっても,既に行われた社会的抹殺や,刑罰的側面を有する逮捕・勾留の責任を,国は絶対に取ってくれません。

「有」罪推定の原則が支配する絶望的な世界で悪戦苦闘しているのが,日本の刑事弁護士の実情です。(末原)

 
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