被告人が,うなぎの稚魚を無許可で輸出しようと,スーツケースを,機内持込手荷物である旨偽り,設置されたエックス線装置による検査を受けず,国際線チェックインカウンターエリア内に持ち込み,あらかじめ入手しておいた保安検査済みシールをケースに貼付するなどした上,同カウンター内係員に,ケースを機内預託手荷物として運送委託しようとしたが,税関職員の検査により発見されたという事案で,最高裁は,関税法上の無許可輸出罪の未遂を認めました。
控訴審は,運送委託した時点で未遂になるとし,シールをケースに貼付するなどしただけでは予備に止まる,としましたが,最高裁はこれを覆しました。
客観的危険性という同一の規範の下,手荷物の航空機積載に向けた一連の手続の実情をどのように評価するかにより,結論が分かれたものと考えられます。
本件で問題になった,手荷物の航空機積載に向けた一連の手続の実情のように,弁護士として事件に関わるまではまったく不案内な分野についても,結論に影響し得る限りは十分に勉強し,裁判所に対し主張立証していかなければならないことを,再認識させられました。(末原)
対応地域:神奈川(横浜・川崎・相模原・横須賀・小田原・保土ヶ谷・鎌倉・藤沢・平塚・厚木・戸塚・大船・逗子・久里浜・茅ヶ崎・海老名など)及び東京