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新法考察7(証人等の氏名・住居の開示に係る措置及び公開の法廷における証人の氏名等の秘匿措置【施行済】)

刑事訴訟法290条の3

1 裁判所は,次に掲げる場合において,証人,鑑定人,通訳人,翻訳人又は供述録取書等(供述書,供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるもの又は映像若しくは音声を記録することができる記録媒体であって供述を記録したものをいう。以下同じ。)の供述者(以下この項において「証人等」という。)から申出があるときは,検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き,相当と認めるときは,証人等特定事項(氏名及び住所その他の当該証人等を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。

一 証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるとき。

二 前号に掲げる場合のほか,証人等特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより証人等の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認めるとき。

2 裁判所は,前項の決定をした事件について,証人等特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至ったときは,決定で,同項の決定を取り消さなければならない。

刑事訴訟法291条

1 検察官は,まず,起訴状を朗読しなければならない。

2 第290条の2第1項又は第3項の決定があったときは,前項の起訴状の朗読は,被害者特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。この場合においては,検察官は,被告人に起訴状を示さなければならない。

3 前条第1項の決定があった場合における第1項の起訴状の朗読についても,前項と同様とする。この場合において,同項中「被害者特定事項」とあるのは,「証人等特定事項」とする。

4 裁判長は,起訴状の朗読が終った後,被告人に対し,終始沈黙し,又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上,被告人及び弁護人に対し,被告事件について陳述する機会を与えなければならない。

刑事訴訟法295条

1 裁判長は,訴訟関係人のする尋問又は陳述が既にした尋問若しくは陳述と重複するとき,又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは,訴訟関係人の本質的な権利を害しない限り,これを制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても同様である。

2 裁判長は,証人,鑑定人,通訳人又は翻訳人を尋問する場合において,証人,鑑定人,通訳人若しくは翻訳人若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあり,これらの者の住居,勤務先その他その通常所在する場所が特定される事項が明らかにされたならば証人,鑑定人,通訳人又は翻訳人が十分な供述をすることができないと認めるときは,当該事項についての尋問を制限することができる。ただし,検察官のする尋問を制限することにより犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがあるとき,又は被告人若しくは弁護人のする尋問を制限することにより被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは,この限りでない。

3 裁判長は,第290条の2第1項又は第3項の決定があった場合において,訴訟関係人のする尋問又は陳述が被害者特定事項にわたるときは,これを制限することにより,犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがある場合又は被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き,当該尋問又は陳述を制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても,同様とする。

4 第290条の3第1項の決定があった場合における訴訟関係人のする尋問若しくは陳述又は訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても,前項と同様とする。この場合において,同項中「被害者特定事項」とあるのは,「証人等特定事項」とする。

5 裁判所は,前各項の規定による命令を受けた検察官又は弁護士である弁護人がこれに従わなかつた場合には,検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に,弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し,適当な処置をとるべきことを請求することができる。

6 前項の規定による請求を受けた者は,そのとった処置を裁判所に通知しなければならない。

刑事訴訟法299条の4

1 検察官は,第299条第1項の規定により証人,鑑定人,通訳人又は翻訳人の氏名及び住居を知る機会を与えるべき場合において,その者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは,弁護人に対し,当該氏名及び住居を知る機会を与えた上で,当該氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し,又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし,その証人,鑑定人,通訳人又は翻訳人の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは,この限りでない。

2 検察官は,前項本文の場合において,同項本文の規定による措置によっては同項本文に規定する行為を防止できないおそれがあると認めるとき(被告人に弁護人がないときを含む。)は,その証人,鑑定人,通訳人又は翻訳人の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き,被告人及び弁護人に対し,その証人,鑑定人,通訳人又は翻訳人の氏名又は住居を知る機会を与えないことができる。この場合において,被告人又は弁護人に対し,氏名にあってこれに代わる呼称を,住居にあってはこれに代わる連絡先を知る機会を与えなければならない。

3 検察官は,第299条第1項の規定により証拠書類又は証拠物を閲覧する機会を与えるべき場合において,証拠書類若しくは証拠物に氏名若しくは住居が記載され若しくは記録されている者であって検察官が証人,鑑定人,通訳人若しくは翻訳人として尋問を請求するもの若しくは供述録取書等の供述者(以下この項及び次項において「検察官請求証人等」という。)若しくは検察官請求証人等の親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認めるときは,弁護人に対し,証拠書類又は証拠物を閲覧する機会を与えた上で,その検察官請求証人等の氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し,又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし,その検察官請求証人等の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは,この限りでない。

4 検察官は,前項本文の場合において,同項本文の規定による措置によっては同項本文に規定する行為を防止できないおそれがあると認めるとき(被告人に弁護人がないときを含む。)は,その検察官請求証人等の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合その他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き,被告人及び弁護人に対し,証拠書類又は証拠物のうちその検察官請求証人等の氏名又は住居が記載され又は記録されている部分について閲覧する機会を与えないことができる。この場合において,被告人又は弁護人に対し,氏名にあってはこれに代わる呼称を,住居にあってはこれに代わる連絡先を知る機会を与えなければならない。

5 検察官は,前各項の規定による措置をとったときは,速やかに,裁判所にその旨を通知しなければならない。

刑事訴訟法299条の5

1 裁判所は,検察官が前条第1項から第4項までの規定による措置をとった場合において,次の各号のいずれかに該当すると認めるときは,被告人又は弁護人の請求により,決定で,当該措置の全部又は一部を取り消さなければならない。

一 当該措置に係る者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがないとき。

二 当該措置により,当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるとき。

三 検察官のとった措置が前条第2項又は第4項の規定によるものである場合において,同条第1項本文又は第3項本文の規定による措置によって第一号に規定する行為を防止できるとき。

2 裁判所は,前項第二号又は第三号に該当すると認めて検察官がとった措置の全部又は一部を取り消す場合において,同項第一号に規定する行為がなされるおそれがあると認めるときは,弁護人に対し,当該措置に係る者の氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し,又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし,当該条件を付し,又は当該時期若しくは方法の指定をすることにより,当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは,この限りでない。

3 裁判所は,第1項の請求について決定をするときは,検察官の意見を聴かなければならない。

4 第1項の請求についてした決定(第2項の規定により条件を付し,又は時期若しくは方法を指定する裁判を含む。)に対しては,即時抗告をすることができる。

刑事訴訟法299条の6

1 裁判所は,検察官がとった第299条の4第1項若しくは第3項の規定による措置に係る者若しくは裁判所がとった前条第2項の規定による措置に係る者若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において,検察官及び弁護人の意見を聴き,相当と認めるときは,弁護人が第40条第1項の規定により訴訟に関する書類又は証拠物を閲覧し又は謄写するに当たり,これらに記載され又は記録されている当該措置に係る者の氏名又は住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し,又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし,当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは,この限りでない。

2 裁判所は,検察官がとった第299条の4第2項若しくは第4項の規定による措置に係る者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において,検察官及び弁護人の意見を聴き,相当と認めるときは,弁護人が第40条第1項の規定により訴訟に関する書類又は証拠物を閲覧し又は謄写するについて,これらのうち当該措置に係る者の氏名若しくは住居が記載され若しくは記録されている部分の閲覧若しくは謄写を禁じ,又は当該氏名若しくは住居を被告人に知らせてはならない旨の条件を付し,若しくは被告人に知らせる時期若しくは方法を指定することができる。ただし,当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは,この限りでない。

3 裁判所は,検察官がとった第299条の4第1項から第4項までの規定による措置に係る者若しくは裁判所がとった前条第2項の規定による措置に係る者若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める場合において,検察官及び被告人の意見を聴き,相当と認めるときは,被告人が第49条の規定により公判調書を閲覧し又はその朗読を求めるについて,このうち当該措置に係る者の氏名若しくは住居が記載され若しくは記録されている部分の閲覧を禁じ,又は当該部分の朗読の求めを拒むことができる。ただし,当該措置に係る者の供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなるときその他の被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは,この限りでない。

刑事訴訟法299条の7

1 検察官は,第299条の4第1項若しくは第3項の規定により付した条件に弁護人が違反したとき,又はこれらの規定による時期若しくは方法の指定に弁護人が従わなかったときは,弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し,適当な処置をとるべきことを請求することができる。

2 裁判所は,第299条の5第2項若しくは前条第1項若しくは第2項の規定により付した条件に弁護人が違反したとき,又はこれらの規定による時期若しくは方法の指定に弁護人が従わなかったときは,弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し,適当な処置をとるべきことを請求することができる。

3 前2項の規定による請求を受けた者は,そのとった処置をその請求をした検察官又は裁判所に通知しなければならない。

 

本改正は,一定の支障が生じるおそれがある場合に,証人等の氏名・住居を被告人や弁護人に知らせないことができるようにしたものですが,真に必要やむを得ない制限以外は,すべて憲法37条2項の反対尋問権を侵害するものですので,極めて制限的に運用することが当然に要求される制度といえます。

単に証人等が心理的抵抗を覚えるというだけで当該制度が濫用されることのないよう,弁護士の側にも厳格な姿勢が要求されますし,万が一弁護人にも知らせないなどという異常事態が発生したときは,弁護士会等にも報告の上,断固たる対処をする必要があります。(末原)

 
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