小学校の教員であった被告人が,同校の児童であった被害者に自車を衝突させて傷害を負わせ,さらに,被害者の両脇を抱えて学童保育施設の入口である校舎西側出入口付近まで引きずって行き,同所に被害者を放置して立ち去ったという事案で,第一審が,自動車運転過失傷害及び保護責任者遺棄について無罪を言い渡したのに対し,大阪高裁は,「被告人については,被害者に対する自動車運転過失傷害の事実が認められるから,自らの過失で負傷させた当時7歳の被害者に対する保護責任を負うことは明らかである。」「遺棄罪における『遺棄』とは,対象者の生命・身体に具体的な危険を生じさせるに足りる行為であることを要すると解すべきところ,被告人が被害者を前記校舎西側出入口付近まで引きずって行って放置した行為は,…被害者の傷害の程度や,被害者が放置されたのが学童保育施設職員から容易に発見されて保護され得る場所であったことにも照らすと,それだけでは,被害者の生命・身体に直ちに具体的な危険を生じさせ得るものとは認め難く,保護責任者遺棄罪にいう『遺棄』には当たらない」として,自動車運転過失傷害の成立を肯定した一方,保護責任者遺棄については,無罪の結論を維持しました(一部破棄自判・有罪,一部控訴棄却)。
結論としては妥当な判決だと思いますが,作為・不作為や保護責任などについて,理論的な説明が尽くされたとは必ずしも言えないように思います。(末原)
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被告人が,県職員である被害者の胸倉を掴む暴行を加えたという公務執行妨害の事案で,被害者及び目撃者に被害状況及び目撃状況を動作等を交えて再現させ,その様子を順次撮影し,その写真を撮影状況や指示内容に関する説明とともに添付した捜査状況報告書2通(以下,「本件各書証」という。)が,第一審において,刑訴法321条3項によって採用されたところ,控訴審が,「原審の証拠採用及び証拠の標目の項の記載からすれば,本件各書証は…被害状況及び目撃状況それ自体を立証する趣旨のものではなく,それらの状況自体は別途証人尋問において立証を求め,それらの状況が立証された際にその状況をより理解しやすくするための資料として…採用されたものと認められる」として,第一審の判断を是認したのに対し,最高裁は,「捜査状況報告書…は,警察官が被害者及び目撃者に被害状況あるいは目撃状況を動作等を交えて再現させた結果を記録したものと認められ,実質においては,被害者や目撃者が再現したとおりの犯罪事実の存在が要証事実になるものであって,原判決が,刑訴法321条1項3号所定の要件を満たさないのに同法321条3項のみにより採用して取り調べた第1審の措置を是認した点は,違法であるが,その違法は原判決の結論に影響を及ぼすものではない」として,控訴審の判断を否定しました(結論としては上告棄却)。
最決平17.9.27の事案との差異を考慮に入れても,最高裁の判断は当然ですし,第一審や控訴審による証拠判断や,検察官による証拠請求や証人尋問のあり方は,直接主義・口頭主義を重視する近年の潮流にそぐわないものであったように思います。(末原)
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「罪名別解説」の「軽犯罪」を修正し,さらに詳しい解説を加えました。
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こんにちは,事務局の者です。
先日,大型家具店に行ってきました。
使い勝手の良さそうな,それでいてデザインも悪くない商品が,たくさん置いてありました。
夏用布団のサンプルも置いてあり,触ってみるとひんやり冷たい。
技術の進歩に感心しつつ,「流石お値段以上だわ」と思いながら,買い物を楽しみました。
店内を歩き回ること1時間,少し疲れたので,家具のディスプレイルームにあったソファーに座らせてもらいました。
のけぞって座るのは気が引けたので,背筋を伸ばして座っていると,小学生くらいの男の子が,近くまでやって来ました。
そして,いきなり私の方を指差しながら,その子のお母さんに尋ねました。
「お母さん,あれ人形?」
厚化粧ゆえ,私の白い顔がマネキンにでも見えたのでしょうか??
心の中で爆笑しつつ,自分が人間であることを証明するため,男の子に軽くお辞儀しました。(事務局)
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「罪名別解説」の「ストーカー」を修正し,さらに詳しい解説を加えました。
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バーの従業員であった被告人X及びYが,客であった被害者に対し,代金支払いを巡るトラブルから,被告人の背部を蹴って階段の上から落下させて転倒させ,多数回にわたって被害者の頭部顔面や胸腹部等を殴り,蹴り付けるなどの暴行(以下,「第1暴行」という。)を加えた後,客であった被告人Zが,床に倒れている被害者の背部付近を1回踏み付け,背中を1回蹴る暴行(以下,「中間暴行」という。)を加えた上,被害者の頭部顔面を多数回にわたって蹴り付けるなどの暴行(以下,「第2暴行」という。)を加えた結果,被害者が急性硬膜下血腫等の傷害を負い,翌日,同血腫に基づく急性脳膨脹により死亡したが,傷害が上記第1及び2暴行のいずれによるものか不明という事案で,原判決が,同時傷害の特例の適用を否定し,両暴行の機会の同一性も否定して,X及びYに傷害罪,Zに傷害致死罪が成立するとしたのに対し,名古屋高裁は,「X及びYが共謀の上で行った第1暴行と,Zが行った第2暴行とは…,そのいずれもが被害者の急性硬膜下血腫の傷害を発生させることが可能なものであり,かつ,実際に発生した急性硬膜下血腫の傷害が上記両暴行のいずれによるものか不明であるということになるから,もし,両暴行に機会の同一性が認められるのであれば,取りあえず,死亡の結果の発生をひとまずおいて考えれば,同時傷害の特例に関する刑法207条が適用され,被告人3名全員が,両暴行のいずれか(あるいはその双方)と因果関係がある急性硬膜下血腫の発生について,共犯として処断されることになる」。そして,このように「被告人3名が急性硬膜下血腫の傷害の発生について共犯としての罪責を負うという前提で考える以上,この場合,被告人3名が共犯としての刑責を負うべき急性硬膜下血腫を原因として生じた被害者の死亡についてもまた,被告人3名は共犯としての刑責を負うことになると解すべきであって,結局,被告人3名は,上記死亡を内容とする傷害致死罪の共犯として処断されることになると解すべきである」。原判決の判断は,「実際に発生した傷害との因果関係について検討しないで,直ちに死亡との因果関係を問題にしている点で,暴行と傷害との因果関係が不明であることを要件とする刑法207条の規定内容に反すると考えられるし,このように解した場合,本件で,急性硬膜下血腫の傷害の発生について,結局は誰も責任を問われないことになる結果となることを看過したものであるといわざるを得ない」とし,原判決が暴行の機会の同一性を否定した点についても,「第1暴行と第2暴行との間に時間的場所的な近接性があることは,両暴行が同一の機会に行われたとうかがわせるに足りる重要な事情であると考えられ」,「原判決がいうほど『予期』を問題にすることが相当か否かが,そもそも疑問である」上,予期についての原判決の認定にも疑問があるとして,原判決を破棄し,事件を差し戻しました。
①同時傷害の特例の適用に際し,暴行と死因となった傷害との間の因果関係を問題とすべきか,それとも暴行と死亡との間の因果関係を直接問題とすべきか,②暴行の機会の同一性がどのような場合に認められるか,という各論点について参考になる判例であり,原判決との比較が重要といえます。
XやYの弁護士にとっては,特に考えなければならないことの多い事件であったと想像されます。(末原)
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「罪名別解説」の「殺人」を修正し,さらに詳しい解説を加えました。
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「罪名別解説」の「放火」を修正し,さらに詳しい解説を加えました。
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こんにちは,事務局の者です。
お盆のお墓参り。
毎年,親族一同揃って行きます。
主人の実家のお墓は,会ったことのないご先祖様から,祖父母の眠っているお墓まで,数個並んであります。
きれいに掃除をしてから,皆でお線香を上げてお参りします。
ここまでは,ごくごく一般的なお参りだと思うのですが,なぜか我が家は,お参りの後,お墓の前で整列をし,集合写真を撮るのが恒例になっています。
小さな姪っ子が,「暑いから早く帰りたーい」と駄々をこねても,皆聞こえないふり。
「そこ,陰になるから,もう少し左に寄って!はい,皆笑って!」などと叫ぶカメラマン。
人数が多いので,整列をするのも一苦労です。
色々な角度から撮り終えた頃には,皆汗だくです。
そして最後に,家に戻ってから,写真を拡大してみて,この世に存在していない人が映り込んでいないかの確認をするのも,恒例行事。
未だ怖い写真が撮れたことはありませんが,結婚当初から抵抗があったこの謎の行事に,「写真撮影は止めませんか?」と嫁が口を出せる余地は,今年もありませんでした…。(事務局)
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「罪名別解説」の「器物損壊」を修正し,さらに詳しい解説を加えました。
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