今年もまた，良いこともあれば悪いこともありました。
特に忘れられない悲しい出来事は，友である田中佑一先生と，師である渡邉昭先生の急逝です。
田中先生とは水戸修習で出会い，違う班ながら修習の卒業試験に向けて共に自主勉強会を開くなど非常に気が合い，勤務弁護士を経て独立開業したのもほぼ同時期でした。
開業直後には互いの事務所を訪問し合い，その後も仕事で事務所の近くに行くことがあったときは，一緒にご飯を食べたりしました。
奥様から電話で突然の訃報を聞いたときは，正直現実感を持って受け止めることはできませんでした。
私から水戸修習の仲間に訃報を伝えましたが，皆も同じだったようで，個別にもたくさんの連絡が来ました。
真の人格者で，誰からも慕われ，頼りにされる存在でした。
田中先生が志半ばで，奥様を残して旅立っていってしまったことは遺憾の極みですが，私は彼の無念を生涯忘れず，弁護士として頑張っていくしかないと思っています。
また，私は，修習の最初が弁護修習で，縁故のない水戸という土地にまだ馴染めないでいた頃，私の指導担当弁護士であった渡邉先生には，本当に良くしていただきました。
私が刑事弁護士を志望していると聞いて，国選の刑事事件を多めに取ってきてくださるなど，修習自体において熱心にご指導くださったのはもちろん，昼食はほぼ毎日，夕食もかなりの回数ご馳走になりました。
しかもただご馳走してくださるというのではなく，茨城が誇る様々な名物をご紹介くださり，今ではすっかり「茨城は美味しい物がたくさんある土地」という認識で固まっていますし，仕事のついでに名所に立ち寄れそうなときは，積極的に連れていってくださり，弁護修習を終える頃には，茨城に関する知識が格段に増え，同時に愛着を覚えるようになっていました。
ここまで心から尊敬できる師には今まで出会ったことがなかっただけに，事務員さんや修習の仲間から訃報を聞いたときは，やはり現実感を持って受け止めることはできませんでした。
独立開業後，ご挨拶に水戸に伺い，代表弁護士となった私の姿をご覧いただけていたことが，私にとって唯一の慰めです。
渡邉先生が急逝されたことは，近しい人々だけでなく，弁護士業界にとっても大きな損失ですが，私の弁護士としての姿勢には，渡邉先生から学んだことが色濃く反映されているように，歴代の修習生を始め，渡邉先生に師事したすべての法曹が，そのスピリットを受け継いでいくものと確信しています。
お二人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。（末原）
末原刑事法律事務所対応地域
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