条例違反としての淫行と,児童買春の区別は,金銭等のやり取りの有無を基準になされており,明確に区別することができます。
一方,淫行・児童買春と,児童福祉法違反の区別は,どれほど悪質かという抽象的な基準によってなされており,必ずしも明確に区別できるわけではありません。
実際,弁護していて,当初は淫行として扱われていたのが,途中で児童福祉法違反に切り替わるということが,何度かありました。
また,児童買春は,淫行よりは刑が重いが,児童福祉法違反よりは軽いという微妙な位置付けのため,児童買春と児童福祉法違反の区別は,淫行と児童福祉法違反の区別以上に分かりにくいところです。
痴漢と強制わいせつの間にも同じような問題がありますが,罪刑法定主義や明確性の原則といった法の大原則からすると,実務上これらの罪をどのように区別するかについては,もう少し明文で具体化すべきではないかと思います。
弁護士としては,以上のような問題を踏まえつつ,本来淫行や児童買春として扱われるべき事案が,安易に児童福祉法違反として扱われることのないよう,十分注意しなければならないといえます。(末原)
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